貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 脱いでいたのがシャツだけでよかったと安心していたナディアだが、うっかり顔を上げた際にゲルハルトの背に走る古い傷跡に気づいてしまった。

「ねえ、それ……どうしたの?」

 見ていない振りをするのはやめ、痛そうだと顔をしかめながら尋ねる。

 右肩から左の腰にかけた大きな切り傷。怪我を負った当時はひどい状態だっただろうと容易に想像できた。

「ただの古傷だ」

 予想していたとはいえ、ゲルハルトの返答は素っ気ない。

「痛まない?」

「雨の日は少し引きつるが、その程度だ。……どうしておまえが痛そうな顔をする?」