「さ、とりあえず今日のお支度をしちゃいましょう! 病のせいで人手不足なんです。ナディア様にもいっぱい働いてもらいますよー」

「あら、腕の見せ所ね」

 とても貴族令嬢が返す言葉ではないが、ナディアはやる気に燃えていた。



 しかしそれから数日も経たないうちに、比較的元気そうだったメイドたちも病に倒れた。

 というより、城で働くほとんどの者が床についたといっていい。

「街でも流行っているそうね。大丈夫なの?」

「大丈夫ではないですね」

 そんな中でこれまでと変わらずにいるのは、エセルとナディアだった。