貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「えっ? え、どうして? なに? ごめんなさい、なんでもないの」

 慌ててナプキンを手に取り涙を拭うも、とめどなく溢れて止まらない。

「具合でも悪いのか? だったら無理して食べなくてもいいんだよ」

 父に言われ、ナディアは首を左右に振る。

「いいえ、そういうわけじゃないの。むしろおいしすぎたというか……」

 あれは夢だったはずだ。

 だから食事に感動して泣くなんてどうかしている。

「具合が悪いわけじゃないのよ。心配させてごめんなさい」

 これ以上両親を心配させまいと、涙をこぼしながら笑みを作っておく。

(夢で本当によかった)