これが王族に楯突いた重罪人を縛る鎖であり、永遠に出ることがかなわない檻なのだとナディアは生まれて初めての絶望を感じたものだった。

 その絶望がさらに深まるとも知らず、彼女は一日、そしてまた一日と自身の冤罪が晴れる瞬間を期待した。

 ここで朽ち果てるのではないかと薄々感じ始めたのは、二十日を過ぎた頃だ。

 良家の生まれ育ちの彼女が劣悪な環境にここまで耐えられたのは奇跡である。しかしそれは苦しみでもあった。耐える時間が長ければ長くなるほど、それだけこの獣にも劣る生活が続くのだから。

 二十五日目、それまでずっと喉の変調を感じていたナディアはついに病に倒れた。