朝の入浴を済ませたナディアは、フアールから持ち込んだものとは違う衣服を渡された。

 首まですっぽり覆った淡いピンクのワンピースは裾が床につくほど長い。生地は薄く動きやすいが、風を通さないように編みこまれているようでまったく寒さを感じない。

「私たちからするとちょっと暑いんです。でもナディア様ならこのぐらいのほうがいいんじゃないかって、エセル様が仰ってました」

「そうね、全然寒くなくて助かるわ。フアールの服はどうしても寒くて」

 寒さに弱いエセルのおかげで、ナディアはかなり快適な装備を整えられていた。靴も内側にふかふかの布が貼られているため、歩くだけで暖かい。