貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 まだ赤身を残したやわらかそうな肉に刻んだ野菜のソースがたっぷりとかかっていた。

 最初のスープに劣らない、食欲をそそる香りが辺りに満ちる。

 ぐう、と小さな音が鳴った。ナディアの腹の虫が騒いだのだ。

(ちょっと! やめてよ!)

 本能が刺激されたからとはいえ、淑女としてあるまじき反応に顔が赤く色づく。

 大男の耳にも届いたのか、強面に笑みが浮かんだ。

「よしよし、食い足りないならまだあるからな。遠慮するなよ」

 ありがとうと伝えたつもりが声にならなかった。

 大男がまた厨房へ消え、今度は最初ほどためらわずに料理を口にする。