貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「どうしました?」

 普段着を用意していたメイドが手を止めて顔を上げる。

「私って今いくつだったかしら」

「あらま、本当に変わったことをお聞きになりますね。先日、十七になったばかりじゃないですか。やっと今年から夜会に出られると喜んでいらっしゃったじゃありませんか」

 ナディアの唇が『じゅうなな』と形を作る。

(灰の塔に閉じ込められる四年も前だわ。つまりまだ私はジャンと結婚していない……? ううん、なにを言っているのかしらね。あれは夢だったんだから考えるだけ無駄でしょう)

 再び服の準備をし始めたメイドに促され、寝間着から普段着へと着替えを行う。