貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ゲルハルトとふたりで向き合うのはこれが二度目になるが、ナディアは以前よりも居心地の悪さを感じていた。

「申し訳ありません。ご迷惑をおかけいたします」

「おまえにも事情があるのだろう。以前泣いていた理由に関係しているのか?」

「お恥ずかしながら」

 ゲルハルトにならば言っても構わない気がして、ナディアは自国で起きた事実を伝える。

「私の婚約者はフアールの王子です。別の女性と結ばれるために、私をエスタレイクへ行けと……」

 その先を続けられなかったのは、ゲルハルトが獣のように低い声で唸ったからだ。

「よりによってエスタレイクか」

「……ええ」