貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

(いつの間にか婚約者を奪われて、挙げ句に邪魔者として追放されました……というのはちょっとあけすけすぎるかしら)

 エセルは微笑したままナディアの言葉の先を待っている。

 ナディアが警戒しているように、エセルもまた人間を警戒していた。

 なんのために突然、貢ぎ物として送られてきたのか真意をはかりかねていたからである。

「婚約破棄の上、エスタレイクとフアールを繋ぐ架け橋となるよう命じられた次第です」

 嘘でもないが真実とも言いがたい。

 エセルはナディアが気まずげに目を逸らしたことに気づいていた。

 言葉の端々に滲む無念さを指摘しようとした時、ノックもなくドアが開かれる。