貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

「とても怖い夢だったわ。灰の塔に投獄されて死んでしまう夢なの」

 ナディアは自分の手を膝の上で握り締めた。

 あの悲しく苦しい日々が夢だったとはまだ思えない。

「あらあら、それは恐ろしい夢ですこと。だけどね、心配しなくても大丈夫ですよ。お嬢様が灰の塔へ連れて行かれる日なんて来やしませんから。――さて、お召し物を替えましょうね」

「ありがとう。動きやすいものをお願い」

 そう言ったナディアはふと壁際の鏡台に映る自分を見た。