貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~

 ゲルハルトとしては納得がいかないようだったが、思うところもあったらしくナディアとフアールの使者に視線を戻す。

「ひとまず彼女は預かろう。遠方よりご苦労だった。……しばらくこちらに留まるのか?」

「いいえ、我々はすぐにフアールへ戻ります。この地に留まるのはナディア様だけです」

「そうか」

 ナディアはゲルハルトのもの言いたげな視線を受けて、『自分の本意ではない』と言いたくなった。

「帰国にあたり必要なものがあれば言え。用意させよう」

「お気遣いいただきありがとうございます」

 使者はそう言うが、本心でないのは固い口調から明らかだった。