最初は船旅に少しばかり楽しさを感じていたナディアも、日を追うごとに地面が恋しくなっていった。

 そして王都を追いやられて半月と二日。

 ついにナディアはエスタレイクの王城へとたどり着いた。

「フアールからエスタレイクへ、両国の友好を願って貢ぎ物を捧げにまいりました」

 ナディアを連れてきた男が言う。

 お前もなにか言え、と背中を小突かれたナディアが眉間にしわを寄せた。

「ナディア・ジエ・リシャールと申します。こちらには留学のつもりで伺いました。本日よりどうぞよろしくお願いいたします」

 フアール流の挨拶をしたナディアを、玉座から困惑したように見ているのはゲルハルトだ。