それをよく思わない父とゲルハルトとの出会いのおかげで、かろうじて彼らほどの思いを抱かずにいるだけ。

「だから心配しないでくださいね! ナディア様が受け入れられてもそうでなくても私は幸せになれますので」

 歌うように言うと、コリンヌはうやうやしく礼を取った。

「それではナディア様。二度とお会いしないでしょうが、どうかお元気で」

「あなたこそ、フアールの王妃としてふさわしい教養を身につけてちょうだい。その礼は目上の男性にするものよ」