「「わぁぁぁぁ!!」」
叶兎くんが投げたボールは見事にゴールの真ん中へ。
──ピピーッ!
試合終了。あっけないようで、濃密な時間だった。
「胡桃手上げて」
『手?こ、こう?』
シュートを決めた叶兎くんが私の方に駆け寄ってきて、言われるまま右手を上げると、ポンッとハイタッチ。
「ナイスパス」
そう言いながら叶兎くんはニコッと笑った。
……あ、こんなに楽しそうな顔するんだ。
立場もあってかいつも気を張っているようだし、天音くんに試合しよって言われて最初は面倒くさそうにしてたけど、試合中の叶兎くんはずっと楽しそうに見えた。
「叶兎くんかっこいー!お疲れー!」
「朝宮さんもかっこよかったよー!!」
……え?
驚いて振り返ると、さっきまで冷たい視線を向けてきたクラスメイトが、今は笑顔で手を振っていた。
転校早々みんなの気に触る立場になってしまった私はもうみんなと仲良くなれないと思ってた。
けど………そんなこと、ないのかな
まだ、みんなと仲良くなれるかな。

