「運動神経良さそうだから」
いや…確かに運動神経は自信ある方だけど…
この空気の中バスケするとか公開処刑でしかないんだけど…?!
「応援してるよーー!!行っちゃえ行っちゃえ!」
瑠奈ちゃんに背中を押されて、勢いのままコートに足を踏み入れる。
「どうせ長くなるから先に1点入れた方が勝ちね」
私の悩みを他所に、いつの間にかじゃんけんを済ませてボールを持った叶兎くんが私を見た。
もう拒否権ないじゃん…!
『分かった』
もうあとには引けないので諦めた。
やってやろうじゃないか、どうせやるなら全力でやってやろう。
一ピーッ!
甲高い笛の音で試合が開始した。
3人とも運動神経がずば抜けてて、追いかけるだけで必死。シュートしてもすぐガードされ、逆に入れられそうになったら全力で防ぐ。その繰り返し。
「どうせ長くなる」って言ってた意味が、よく分かった。
周りからは女子の黄色い声援が響いている。叶兎くん、天音くん、桐葉くん、3人ともそれぞれ違う雰囲気のかっこよさがあるから、注目されるのも当然だ。

