総長は、甘くて危険な吸血鬼



《叶兎、今どこにいる?》

「生徒会寮、全員いる」

《ならスピーカーにしてくれ》

「分かった」


秋斗から連絡が来たのはいつぶりだろう

どこにいる?は逆に俺が聞きたいんだけど。


秋斗は潜入捜査が得意で、今もどこかで動いているはずだ。
いつも寮にいないのはそういう理由だけど…今は声が妙に張り詰めていた。


「秋斗から」


そう告げると、全員が俺のケータイのそばへ集まる。


《朝宮胡桃という生徒を絶対にBSに渡すな》


「「…!!」」


衝撃の言葉に、場の空気が凍りつく。


《…何、もしかしてもう知り合い?》


知り合いも何も今ここにいる

…こういう話で胡桃を不安にさせたくないけど、
本人も聞いておくべきだろう。


《BSの総長が何年も前からその子の事を探してるらしい。目的は──っ悪い一旦切る》


「秋斗?」


雑音混じりに、遠くで走る足音と怒鳴り声。

嫌な気配が胸をざわつかせる。