……!!

どうして、私の名前を…?

だって私、この人達の事なんて知らない、
会ったこともないはずなのに。


「はは、まさか自分から出てきてくれるなんてラッキーだぜ。全員こいつを捕らえろ」


目の前に立ちはだかる男たちが、一斉に私へと駆け出す。


さすがに、この人数は…っ

無理っ……!!


背後は壁で逃げ場が無くなった私のは、ぎゅっと目を閉じる。


その瞬間──



ドサッ、ドササッ……ッ!

鈍い音が次々と響いた。


「うっ、」
「ぐは…っ」


目を開ければ、私に迫ってきた男たちが次々と崩れ落ちていく。



“叶兎は、かっこいいんだよ”

さっき春流くんが言った言葉が、頭の中で蘇った。



「胡桃に手出したら殺す」



低く、鋭く突き刺さる声。

そこに優しさは一片もなくて、ただ冷たい刃物のような殺気だけが漂っていた。



叶兎くん…っ


私を捕らえようと向かってきた男たちを、ほんの一瞬で叩き伏せてしまった。

その背中から滲み出る圧力に、空気までもが重くなる。



助けを求める人がいたら、一番最初に助けにいく。

そしてこの強さ。