「春流、連絡は任せる」
「了解」
──早い
迷いなく端的な会話が目の前で行われ、何が起きたのか理解する間も無く叶兎くんは走って教室から出て行った。
「助けを求める人がいたら、どんなに忙しくても疲れてても1番最初に助けに行く、それが赤羽叶兎なんだよ。」
さっきまで会話をするのもだるそうな雰囲気を醸し出してたのに、助けを求められた途端目つきが変わっていた。
これが、赤羽叶兎…
「じゃ、俺も行かなきゃだから」
『あ、うん…!』
ケータイを取り出して何か文字を打った後、春流くんも叶兎くんを追いかけるように教室から出て行った。
それにしても、今日は瑠奈ちゃんと心音ちゃん遅いな…?
まだHRまで時間はあるけどいつもならもう来てるはずなのに。
そう思った時、脳裏を過った最悪の予感。
“女子二人が黒ずくめの男集団に囲まれててっ…!”
……。
…………いや、まさか、ね?
『あのっ、その女子二人の特徴覚えてる?』
「え?あぁ、確か…大きなリボンにツインテの子と──」
それ、絶対心音ちゃんだ…!!
ということは多分瑠奈ちゃんも一緒にいるはず。

