……まぁ、確かにそうなんだけど。
正直、普段の叶兎くんを見てる限り、少なくとも生徒会長には見えない。
だって、見るからに女子にはめちゃくちゃ愛想が悪いし、人と交わるのを面倒くさがっている。
それなのに、こうしてきゃーきゃーと群がる女子たちが後を絶たないのも不思議で仕方ない。
「…叶兎は、かっこいいんだよ」
叶兎くんの方を見ながらそう呟いた春流くん。
その視線を見たら、本当に叶兎くんのことを慕っているんだなって分かる、そんな優しい目だった。
『かっこいい…顔、が?』
素直な疑問を口にすると、春流くんはクスッと小さく笑った。
「叶兎は確かにイケメンだけど、それだけじゃない」
春流くんが言葉を続けようとしたその時、教室の扉が勢いよく開いた。
「赤羽くんーーっ!1、2年が喧嘩してて大変なことに…」
「叶兎!!女子二人が黒ずくめの男集団に囲まれててっ…!」
教室の扉が悲鳴のような音を立てて開き、息をゼーゼーと切らした男女数人の生徒が飛び込んできた。
必死に廊下を走ってきたのだろう、肩を激しく上下させている。
慌ただしく駆け込んできた彼らの姿を見た瞬間、叶兎くんの顔つきが一変した。
それまでのダルそうな空気を一瞬で削ぎ落とし、即座に立ち上がる。
「場所は?」
「2号塔1階廊下!」
「校門近くの中庭、行けばすぐ見つかる!」


