【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




……まぁ、確かにそうなんだけど。


正直、普段の叶兎くんを見てる限り、少なくとも生徒会長には見えない。


だって、見るからに女子にはめちゃくちゃ愛想が悪いし、人と交わるのを面倒くさがっている。

それなのに、こうしてきゃーきゃーと群がる女子たちが後を絶たないのも不思議で仕方ない。



「…叶兎は、かっこいいんだよ」



叶兎くんの方を見ながらそう呟いた春流くん。

その視線を見たら、本当に叶兎くんのことを慕っているんだなって分かる、そんな優しい目だった。



『かっこいい…顔、が?』



素直な疑問を口にすると、春流くんはクスッと小さく笑った。



「叶兎は確かにイケメンだけど、それだけじゃない」



春流くんが言葉を続けようとしたその時、教室の扉が勢いよく開いた。



「赤羽くんーーっ!1、2年が喧嘩してて大変なことに…」

「叶兎!!女子二人が黒ずくめの男集団に囲まれててっ…!」



教室の扉が悲鳴のような音を立てて開き、息をゼーゼーと切らした男女数人の生徒が飛び込んできた。

必死に廊下を走ってきたのだろう、肩を激しく上下させている。


慌ただしく駆け込んできた彼らの姿を見た瞬間、叶兎くんの顔つきが一変した。

それまでのダルそうな空気を一瞬で削ぎ落とし、即座に立ち上がる。



「場所は?」


「2号塔1階廊下!」

「校門近くの中庭、行けばすぐ見つかる!」