……まぁ、確かにそうなんだけど。


正直、普段の叶兎くんを見てる限り、少なくとも生徒会長には見えない。


だって見るからに女子にはめちゃめちゃ愛想悪いし、なのにきゃーきゃー言ってる女子が沢山いるのも不思議。



「…叶兎は、かっこいいんだよ」



叶兎くんの方を見ながらそう呟いた春流くん。

その視線を見たら、本当に叶兎くんのことを慕っているんだなって分かる、そんな優しい目だった。



『かっこいい…顔、が?』

「叶兎は確かにイケメンだけど、それだけじゃない」



春流くんが言葉を続けようとしたその時、教室の扉が勢いよく開いた。



「赤羽くんーーっ!1、2年が喧嘩してて大変なことに…」

「叶兎!!女子二人が黒ずくめの男集団に囲まれててっ…!」



二人の女子生徒と男子生徒が息を整えながらそう言った。必死に走ってきたんだろう。

慌ただしく飛び込んできた生徒達を見て、叶兎くんが即座に立ち上がる。


「場所は?」


「2号塔1階廊下!」

「校門近くの中庭、行けばすぐ見つかる!」