【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




「胡桃」

『何──んっ…!?』



返事をしようとした瞬間、叶兎くんが急激に距離を詰めてきた。

唇に触れたのは、驚くほど柔らかくて、温かい感触。

優しくて、熱くて。



叶兎くんがそっと離れて、自分の身に何が起きたのかを理解した途端、一瞬にして膝から力が抜けた。


ぐいっと腰を支えられて、また密着するような形になってしまう。



「あはは、顔、真っ赤。」



見上げた先にあったのは、意悪で、でもすごく楽しそうな──満面の笑み。

叶兎くんが笑ったところ、初めて見た。


ずっと無愛想で意地悪ばかり言っていたのに、こんな土壇場でそんな可愛い笑顔を見せるなんて、ズルすぎる。



「血だけじゃなくて、胡桃自身が欲しくなった」



…なんか私今とんでもない事言われてる?!


ドクン、ドクンと、胸の中の鼓動がうるさいくらいに速くなっていく。

今朝までは「他意はない」なんて冷たく言っていたくせに。



「これから覚悟しといて、胡桃」



口角を上げて、笑みを浮かべた叶兎くん。


私、とんでもない人に気に入られてしまったかもしれません…。