「胡桃」
『何──んっ』
叶兎くんがいきなり距離を詰めて来て唇に柔らかい何かが触れた。
優しくて、熱くて、
その熱が離れたと同時に何が起きたのか理解した途端、一瞬にして膝から力が抜ける。
ぐいっと腰を支えられて、また密着するような形になってしまった。
「あはは、顔、真っ赤。」
そして、見上げた先の笑顔が…反則。
…叶兎くんの笑ったとこ、初めて見た。
ずっと無愛想だったのに突然のその笑顔はずるい
「血だけじゃなくて、胡桃自身が欲しくなった」
…なんか私今とんでもない事言われてる?!
心臓の鼓動が速くなっていくのが分かる。
他意は無いって、言ってたのに。
「これから覚悟しといて、胡桃」
口角を上げて、笑みを浮かべた叶兎くん。
私、とんでもない人に気に入られてしまったかもしれません…。

