…前言撤回
やっぱ私、この人苦手!!
さっき「根は優しいんだ」なんて見直した自分を全力でぶん殴りたい。
やっぱりこの人は、どこまでも傲慢で強引な吸血鬼だ!
「じゃあ聞き方変える。」
溜息をついた赤羽くんの手が、私の頬にそっと添えられた。
視界いっぱいに赤羽くんの瞳。
赤い瞳の奥に光る鋭さと真剣さに思わず見惚れてしまいそうになる。
「俺の女になってよ」
『………へ?』
もっと意味がわからないんですけど…!!?
予想の遥か上をいく言葉に、間抜けな声が喉から漏れた。
俺のもの(=餌)だと思っていたのに、なんで「俺の女」なんてワードが出てくるの!?
『あ、赤羽くんそれは一体どういう…?』
「叶兎」
『え?』
「俺も下の名前で呼んで」
さっきから赤羽くんの雰囲気がコロコロ変わって、一言一言に驚いてしまう私。
じーっと私の目を見つめてきて私の言葉を待っている。
『叶兎、くん』
慣れてないとはいえ…名前を呼ぶのってこんなに緊張するんだっけ。
喉の奥がくすぐったくて、うまく息ができない。
…叶兎くんが至近距離にいるせいかな
それでも口に出した瞬間、叶兎くんの目の色がふっと和らいだ。
「……………あー、こんな小さな事で嬉しくなるとか、俺ってこんなにちょろかったっけ」
ぽつりと漏らされた、独り言のような呟き。
小さすぎて聞き取れなかったけど、彼の耳元が少しだけ赤くなっているのが見えた。


