…前言撤回
やっぱ私、この人苦手!!
「じゃあ聞き方変える。」
頬に添えられた手のひらが、そっと角度を変える。
視界いっぱいに赤羽くんの瞳。
赤い瞳の奥に光る鋭さと真剣さに思わず見惚れてしまいそうになる。
「俺の女になってよ」
『………へ?』
もっと意味がわからないんですけど…!!
予想外すぎる赤羽くんの言葉に間抜けな声が出てしまった。
『あ、赤羽くんそれは一体どういう…?』
「叶兎」
『え?』
「俺も下の名前で呼んで」
さっきから赤羽くんの雰囲気がコロコロ変わって、一言一言に驚いてしまう私。
じーっと私の目を見つめてきて私の言葉を待っている。
『叶兎、くん』
慣れてないとはいえ…名前を呼ぶのってこんなに緊張するんだっけ。
喉の奥がくすぐったくて、うまく息ができない。
…叶兎くんが至近距離にいるせいかな
それでも口に出した瞬間、赤羽くんの目の色がふっと和らいだ。
「……………あー、こんな小さな事で嬉しくなるとか、俺ってこんなにちょろかったっけ」
独り言のような呟き。聞き取れないくらいの小さだった。

