『…っ』


天音くんの唇が私の首元に触れた

この体勢で男子に抵抗できる訳もなく、私は諦めて身を任せる。


一瞬、軽い痛みが首元に走った

いや、痛み…なのだろうか?

血を吸われている感覚もない


そんなことを考えているうちに終わったのか、天音くんが顔を上げた



「今回はこれで見逃してあげる。でもいつか吸わせてね?」



いつか吸わせてねって事は、やっぱり今は吸われてない?

結局天音くんは何がしたかったんだ…?



「それじゃ、また寮で」


『ちょ、ちょっと待って。天音くん私に用事があったんじゃ…』


「あぁ、それね。また今度にするよ。その時は……ね?」



そう言い残して保健室から出て行ってしまった天音くん

なんだか意味深な言い方だったけど…


天音くん、コミュ力ありそうだし友達多そうだけどどこか掴み所がない感じがした。



『……不思議な人』