総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




『…っ』



されるがままの私を見て、天音くんは満足そうに目を細めた。

そして、熱い唇が私の首筋に触れる。


この体勢で抵抗できる訳もなく、私は諦めて身を任せた。


一瞬、首元に軽い痛み。

でも牙ほど鋭くはなくて…、すぐにその感覚は離れていった。



「今回はこれで見逃してあげる。…でもいつか吸わせてね?」



耳元でそう言われ、思わず息を呑む。


今のは……吸われて、ない?

結局天音くんは何がしたかったんだろう…?



「それじゃ、また寮で」

『ちょ、ちょっと待って。天音くん私に用事があったんじゃ…』

「あーそれね。また今度にするよ。その時は……ね?」



そう言い残して保健室から出て行ってしまった天音くん

なんだか意味深な言い方だったけど…。




栗栖天音くん、掴みどころがなくて何を考えているのかいまいち分からない。

フレンドリーに話しかけてくるのに…どこか一定の距離を保たれているような気もして…



『……不思議な人』



胸に残る鼓動の速さを抑えきれず、私は小さく呟いた。