栗栖くんに連れられ飛び込んだのは保健室。
そのまま奥のベッドに向かうと、勢いよくカーテンを閉めた。
『栗栖くんっ一体何──』
「し!ちょっと黙って」
何が何だか分からない私が問おうとすれば、口元を手で塞がれる。
一体何…!
いきなり声をかけてきたと思えば、いきなり走りだすし。
「天音、サボってないで仕事をしろ!」
また桐葉くんが栗栖くんを探してる声…!
チラッと栗栖くんに視線を送ると「絶対声出すなよバレるから。」という圧を含んだような視線が返ってきた。
「また隠れたな?」
えっ、ちょ、こっち来てるけど…?!
近づいてくるスタスタと歩く足音。
桐葉くんがカーテンに手をかけたその時、視界がぐるりと回転して真っ暗になった。
感覚的な意味じゃなく、物理的に…布団の中に引きずり込まれたのだ。
「………保健室に入ったように見えたんだが、気のせいか。天音のやつ逃げ足は速いんだよな…」
桐葉くんの声が遠ざかり、ドアの閉まる音が響く。
どうやら出て行ったらしい。
これが、ほんの数分前までの出来事。
そして今に至る────

