そんなこんなで、お昼休みの時間。

チャイムが鳴った瞬間、一気に解放感に包まれる。


はずだったのに




今私は何故か、

栗栖くんに押し倒されています。



そう、経緯は5分ほど前のこと…








瑠奈ちゃんと心音ちゃんと一緒にお弁当を食べ、中庭から教室へ戻ろうとしていた時、不意に横から声をかけられた。


「ねー胡桃っち今暇?」


振り返れば、にこやかな笑みを浮かべた栗栖くん。



『栗栖くん?何か用事?』

「別に用事はないんだけどー、いや、用事でもあるか」



意味深な返事に、私は首を傾げる。

栗栖くんは何か考え込んでいるようだった。



「おい天音!…ったくあいつ逃げたな?」



そうしているうちに遠くから栗栖くんを探す声が聞こえてくる。

多分、声からして桐葉くん。



「げっ、凪こっち来るヤバっ。ちょっと来て!」

『えっちょどこ行くの?!』


いきなり私の手を引っ張り、栗栖くんは走り出した。

驚きと戸惑いで足がもつれそうになりながらも、半ば引きずられるようにして追いかける。



「ごめんちょっと胡桃ちゃん借りるねー」

「どうぞどうぞ〜」



瑠奈ちゃんの声が背中に届き、
「がんばれ!」と謎のガッツポーズまで飛んできた。

その横で心音ちゃんはグッドポーズ。


……いや、何の応援?