【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ





「……ごめん。こういうことは契約の前に話すべき事だったよね……」



叶兎くんはベッドの脇に立っていて、さっきまでの凛とした堂々とした雰囲気と一転して、どこか申し訳なさそうな目で私を見つめていた。



『ううん、いいんだよ。秘密にしなきゃいけなかったんなら仕方ないし……それに、私、もしこの話を知っててもきっと同じ選択をしてたと思うから』



少し安心したように、叶兎くんの肩の力が抜けるのが見えた。



「胡桃……」

『でも、すごいなぁ、トップなんて。お父さんがそうだったのも驚きだけど…!』



一度に押し寄せてきた衝撃的な情報量が多すぎて、逆に一周回って冷静になれていた。

胸の中にある底知れない不安を必死に打ち消したくて、明るく声を張ってみせる。


でも、やっぱり叶兎くんには全部お見通しだった。



「あのね、胡桃。俺はトップとして生きることにはなるけど……胡桃には、胡桃が生きたいように生きてほしい。どっちの道を選んでも、俺は一生胡桃のそばにいる」



その言葉に、胸の奥がぎゅっと熱くなる。

叶兎くんは少し視線を落として続けた。



「……人間の胡桃が俺と一緒にトップとして立つなら、少なからず非難する奴はいる。それにきっと、危険もつきまとうから……今まで通り普通に人間として生きる方が、安全だし幸せなんだと思う」