その瞬間、天音くんが人一倍大きな音を立てて駆け寄り、私のベッドの傍らに膝をついた。
「……っよかった……」
いつも通りの明るい調子で飛び込んできたのに、その声は震えていた。
『…心配かけてごめんね』
「何で胡桃っちが謝んの、謝るのは俺の方だよ…!!」
天音くん…
その瞳は真っ直ぐ私を捉えていて、思わず胸が締めつけられる。
「危険な目に合ったのだって、俺のせいだし……今までのことも全部、本当にごめん………」
……怪我に関しては天音くんのせいじゃない。
でも、どう返せばいいのか分からず、言葉が喉で詰まる。
事情があったとはいえ天音くんがWhite Lillyを裏切る行為をしていた事は事実だし、きっと天音くんも色んな感情の中で葛藤してるはず。
だからこそ、他のみんなもなんて声をかけていいのか分からないのだろう。
…そして、そんな沈黙を破ったのはまたもや春流くんだった。
「にしても……まさか叶兎があんなに取り乱すとは思わなかったけどね〜」
「は?」
その言葉に、先ほどまで黙っていた叶兎くんがわずかに身を震わせ眉を吊り上げた。
「確かにな。」
その様子に九条くんがため息をつきつつも、口元に小さく笑みを浮かべ言葉を続ける。
「胡桃が眠った後の叶兎、見た事ないぐらい焦ってたし。あれからずっとつきっきりだったんだよ。」
「っ……そういうのは、言わなくていい!!」
叶兎くんが微かに顔を赤くして声を荒らげる。
でも、その反応がすべてを物語っていた。
…ずっと、そばにいてくれたんだ…

