「羽雨、“Jack”以外で“BLACKSKY”にやられたところは?」
「今来てる報告は“Jack”だけ、でも、たまたま居合わせた秋斗によると“BS”の組織人数がかなり増えてるらしい」
飛び交う固有名詞はほとんど理解できない。
でも少なくとも、“何か大変なことが起きている”という事実だけは分かった。
人手が足りないなら手伝ってあげたいけど私が力になれるようなことではない気がする。
あたふたしながら立ち尽くしていると不意に視線を感じた。
その視線の正体は斜め前のソファーに座っている赤羽くん。
昨日のこともあって、反射で目を逸らしてしまう。
…あれ本気で言ってたのかな。
「暇ならこっち来て」
『え、私?』
「他に誰がいんの」
言われた通り赤羽くんの側に行くと、赤羽くんは右手でペンを動かしたまま左手でソファーをポンポンと叩いた。
つまり、え、隣座れってこと…?
おそるおそる隣に腰を下ろすと、ひと段落ついたところでふいに私の方へ体を向けた。

