【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




『か…叶兎くん…!?』

「…ったく、無理すんなっていつも言ってんじゃん」



低い声は怒ってるみたいなのに、震えて聞こえる。

額には汗、眉間には深い皺。


その表情に胸がぎゅっと締めつけられる。



「…頼ってよ、俺がいるんだから……っ」



周囲は熱くて恐ろしい炎の海のはずなのに、その言葉を聞いた瞬間、恐怖とは全く別の理由で心臓がドクンッと大きく跳ね上がっていた。


私は小さく頷き、叶兎くんの固くて温かい胸元に自分の顔をそっと委ねるl


次の瞬間、ゴォッと風が吹き抜け、私たちは炎の渦を突き抜けて庭の屋外広場へと飛び出していた。


外の冷たい空気が、私の火照った頬をそっと撫でる。


風が頬に当たり、じんと燃えていた体にひやりと触れた瞬間、圧倒的な安心感が胸へと一気に流れ込んできて……同時に、緊張の糸が切れて全身の力が完全に抜けていく。


芝生の上に優しく降ろされた私のもとへ、すぐに春流くんが血相を変えて駆け寄ってきた。



「……くそっ、無効化が邪魔だな…!…でも、今は無効化の効力が弱ってる。…完全に無効化されてないから、応急処置だけなら…!」