私も、足を引っ張らないように出来る限り自分の身は自分で守ろう

朔とも、きっと一度はちゃんと向き合わなきゃいけない。


「で、胡桃は絶っっ対無理しないこと。分かった?」


唐突に、叶兎くんが私の頭にポンと手を置き、ぐいっと顔を近づけてきた。

…う、圧がすごい

その瞳に射抜かれると、まるで「君の考えなんて全部お見通しだよ」と言われているようで逃げ場がない。


『…はい』


確かに私は突っ走る癖がある。

頭では分かっていても、状況によっては、考えるより先に体が動ちゃうんだもん。

だからこそ、彼の念押しが胸に刺さる。


「ん。いい子」


強い目力と圧に押し負けたので従順に頷くと、叶兎くんはそのままわしゃと私の頭を撫で、ふっと口角を上げた。


「いい子ついでに今日の分頂戴」


ついでとは!?

驚く間もなく腕をがっちりと掴まれ、ぐいっと引き寄せられる。

つい流されそうになったけど、こんなとこでそんなことしてる場合では無い。


『き、昨日の夜散々あげたでしょ!』


そう、昨日は蓮水さんが帰ったあと。
叶兎くんは「満足するまで」と言って、貧血寸前のぎりぎりまで血を吸ってきた。

加減をわきまえているあたり、タチが悪い。