「ねえ、少しでいいから飲ませて……胡桃」
今、初めて私の名前…
『…っ』
赤羽くんの指が、私の首筋から鎖骨に触れて
つーっと指を滑らせる。
少しくすぐったくて、ぞくりと背筋を震わせた。
逃がさない、
そう言われているみたいに赤羽くんはじっと私を見た。
赤羽くんの綺麗な瞳の中に、
私が写っている。
「黙ってるってことは、肯定って捉えるけど」
…だ、だって
そんな真剣なまっすぐな目で見られて断れるわけないじゃん。
さっきまでずっと無愛想でろくに目も合わせようとしてくれなかったのに
こんな、近い距離で話してる。
それに、今まで血を吸いたいって思ったことがなかったのに初めて吸いたいって思ったんだよね…?
そんなこと言われたら尚更、断れない。

