…まぁでも、確かにそうだよな

私がみんなの事を知る権利があるかって言われたらないだろうし。


何も知らなかった私にこうやって話してくれただけでもありがたいのかもしれない。

あんなに私を嫌悪していた赤羽くんが。



「……あと、ずっと思ってたんだけど…お前香水か何かつけてる?」

『…香水??』



閉じた本を机の端に置いて、じっと私の方を見てきたと思えば、

突然何を言ってるんだこの人は。


さっきお風呂に入ったばっかりで、香水なんかつけてる訳がない。



『つけてないけど…?』



そう答えれば、赤羽くんは眉を顰めて何とも言えない複雑そうな顔をした。



『なんで?』って聞こうとした時には私の視界は反転していて、

ソファーの上に押し倒されたんだと気づいた。


目の前には、赤羽くんの顔。


押し倒されたって程じゃないけど、

ソファーから肘掛けに斜めに背中からもたれかかっていて、そこに覆いかぶさるように赤羽くんが手をついている、そんな状態。