「…何?」


心底面倒そうな声音で、ドアの向こうに投げかける。


「幹部、みんな集まってるからそろそろ会議始めたいんだけど」

「悪いけどそれ後にしてくんない?」

「お前が大至急で収集したんだろ。後でいいのか?」

「……あーー。わかった、もう行く」


声の主は、多分さっきまでここにいた蓮水さん。

たまたまだと思うけど…助かった。


朔は私を押さえていた手を離して、ドアの方へ歩いている。


「あぁそうだ」


振り返った朔が、意味深に笑った。


「まさか逃げるなんてこと考えてないと思うけど、あいつに会いたいならここにいたほうが会えると思うよ。」

『え、?それ、どういう…!』


私は呼び止めようと声をかけるけど、また私のことなんかお構いなしにそのまま部屋を出て言ってしまった。

あいつって多分、叶兎くんのことだよね…?
ここにいた方が会えるってどういうこと?

まさか叶兎くんの身にも何かあったんじゃ…

でも、叶兎くんは他の吸血鬼と比べても相当強い。
相手が大勢だったとしてもそんな簡単に倒れたりしないはずだ。