『お風呂めちゃめちゃ広かったな…久しぶりに大浴場行った気分』



髪を乾かし終え、ほかほかとした体を抱えながらロビーに出ると辺りはしんと静まり返っていた。

きっと、みんなそれぞれ個室で過ごしているのだろう。


私も自分の部屋戻ろ…

そう思ってロビーのソファーの横を通り過ぎようとしたけど、机の上で何かがきらりと反射するのが目に入って立ち止まる。



灯りに反射して光っていたのは、机に置いてあった一冊の本の表紙の文字で

“White Lilly”と記載されていた。



『これって、今朝女の子たちが言ってたやつ…?』



思わず私はソファーに腰を下ろし、その本を手に取ってページをめくってみる。




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❇︎WhiteLilly幹部名簿❇︎

《総長》
♚︎赤羽 叶兎(Akabane Kanato)

《副総長》
♚︎水野 流風(Mizuno Ruka)

《情報管理》
♥桐葉 凪(Kiriha Nagi)

《親衛》
♠︎月城 春流(Tsukisiro Haru)

《特攻》
♣栗栖 天音(Kurusu Amane)

《監視塔》
♦飛鳥馬 羽雨(Asuma Wau)

《潜入》
♦︎九条 秋斗(Kuzyou Akito)

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何これ、みんなの名前…?

総長とか…副総長とか、まるで昔の不良漫画に出てくる肩書き。
今時フィクションでしか聞いた事ない。

さらに次のページをめくろうとしたその時、



「おい」


『あっ…!』



背後から低く響いた声とともに、本がひょいと奪われた。



「誰が勝手に見ていいなんて言った?」



振り返れば、そこにいたのは赤羽くん。


…だって机の上にあったし気になったんだもん。
置いとく方が悪い。


「ま、別に隠すような事でもないからいいけど」