総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ


【胡桃side】


朝、携帯のアラームの音で目が覚めて、止めようと携帯の画面を見たら一通のメッセージが来ていることに気づいた。昨日の夜に送られてきたものらしい。

…叶兎くんからだ。




胡桃、怖がらせてしまって本当にごめん。

きっと今は俺と2人になんてなりたくないと思うし、正直俺も…もしまた同じ事してしまったらと思うと、今は少し距離を置くべきだと思う。
だから明日の文化祭、やっぱり一緒に回るのは無しにしてもらえないかな。こんなことになったのは俺のせいだから、ちゃんと自分を抑えられるようになってから胡桃に触れたい。

それでももし俺の事が怖くて血を吸わせるのが嫌になったら血をくれなくてもいい。これだけは知ってて欲しい、俺が好きなのは血じゃなくて胡桃自身だから。



『文化祭…一緒に回りたかったな』


読み終えて、ぽつりと呟く。


…でも、正直私も今は叶兎くんと2人きりになるのは怖い。

だから少しの間距離を置こうって提案には若干安心している自分がいる。

頭ではわかってる。
あれはわざとじゃなかった。抑えきれなかっただけ。

それでも腕を掴まれて押し倒された瞬間の感覚が、身体の奥にまだ残っていて、思い出すと手が強張る。

私、一応体術はお父さんに習って1人ぐらいなら男相手でもやりあえるぐらいにはなったはずなのに、ああいうふうに押し倒されて腕を掴まれるとどうにも力が入らなかった。


叶兎くんも…天音くんも、どんな顔して会えば良いのか分かんない。


朝ご飯を食べる時に一度全員と顔を合わせたけど、この2人と目が合うと意識してしまって落ち着いていられなかった。


「そーいえば胡桃、赤羽くんと文化祭回らないの?」

『え?あ、ちょっと色々あってね…』


クラスへの客足が落ち着いてきた昼頃に教室でお昼ご飯を食べていたら、正面に座っていた瑠奈ちゃんにそう言われて一瞬ドキッとした。


「えっなにそれ、喧嘩したの?」

『うーん、喧嘩とは違うんだけど…』