総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



何かおかしいと思った私はジタバタと抵抗すると、
叶兎くんが血を吸うのをやめて口を離した。

その口元から赤い滴が伝って、ぽた、と私の肌に落ちる。

いつもこんなに飲まないのに、
明らかにおかしい。


「はぁ…はぁ…」


荒い息遣いのまま、その鋭い視線で叶兎くんは私を見る。


『叶兎くん、どうしたの?様子が変だよ…?』


問いかけても返事はない。

何かに耐えるように片手で口を押さえ、苦しそうに声を絞り出した。


「逃げ…ろ…」

『え…?』

「…抑え、られない…」


この時、私は目の前にいるのが何者なのか、理解した。

彼は吸血鬼で、吸血衝動があるのは彼の本能で

私なんかの力じゃ到底敵わない相手。

精一杯抵抗しても、覆い被さっている叶兎くんを押しのけることなんて出来ない。


『っ…、やめて、叶兎くん…、』


噛み付くように私の血を吸う叶兎くん、

どれだけ吸われたのか分からない。
でも、頭がクラクラして、手足から力が抜けていく。