「うわ、すごい!久々に晩飯カレー以外のもの食べるよー」
テーブルに料理を持っていくと、個室に戻っていたみんなが席について待っていて
料理を渡すや否や、目を輝かせた栗栖くんが炒飯を食べ出した。
「めっちゃ美味いじゃん、胡桃っち最高」
く、胡桃っち…?
その妙な呼び方は置いておいて。
あまりに美味しそうに食べてくれるから、作った甲斐があったもんだ。
「ほんとだ、美味いな」
「うんうん!さすが胡桃っち〜」
次々とおかわりしてくれて、テーブルは自然と賑やかになった。
…こういう食卓っていいなぁ。
そんなことを思うとつい口元が緩んでしまったのか、
「…何笑ってんの。」
『え?』
ふと顔を上げると、斜め前の席から赤羽くんが相変わらず冷たい視線を向けていた。
あれ、私そんなに顔に出てた?
『いや…賑やかでいいなぁって』
私は一人っ子で兄弟もいないし親が仕事で家にいない日はずっと1人。
だから料理を人に食べてもらうのも新鮮だし、こんな賑やかな食卓も久しぶりだった。

