脱衣所にある椅子に座らせて、とりあえず冷たいタオルを胡桃の顔に当てる
綺麗な身体…
って、何考えてんだ俺は。落ち着け…！
変なことを考えないようにと、俺は自分の頬を叩いた。
「……」
肩から鎖骨の辺りはタオルが巻かれていないので、無性に血を吸いたくなってくる。
傷ひとつない、こんな綺麗な身体なのに俺には血を吸わせてくれるの、なんか嬉しい
「……噛みたい、血が欲しい」
血を吸うのが怖いはずなのに、
そう思った時には胡桃の身体に触れていて、
『……くん……叶兎くん！』
血を吸おうとした直前、胡桃に呼びかけられている事に気づいた
ハッとして顔を上げると、胡桃と視線が合う。
「あ…えっと…体調大丈夫？」
『う、うん。なんか気づいたらのぼせてたみたいで…ありがとう』
…さっきから俺、本当にどうしたんだろう
また自分がおかしくなりそうだった。胡桃に呼びかけられていることにも気づかなかった。
『私が言うのも変かもしれないけど…叶兎くん今日やっぱり具合悪い？』
「いや…」
…そうじゃない、具合が悪いわけじゃない
「…忙しかったからちょっと疲れてんのかも。心配してくれてありがとね」
原因が何なのかもわからないし、
余計な心配もかけたくないのでひとまずこの事は黙っておくことにした。
「とりあえず、風邪引くから早く着替えなね」
そう言って足早に脱衣所を出ると、数秒後にドタドタっと物音がした
…多分、自分がタオル一枚だったってことに時差で気づいたんだと思う
クールに振る舞ってはいたけど、正直俺も顔が熱くなってたのでしばらく熱を冷ましてからみんなのいるところに戻った。
