──結果。
私は流風くんに半強制的にお化け屋敷の中に連れ込まれ、案の定、物陰から突然飛び出してきたリアルすぎるゾンビに追いかけられるわ、仕掛けの爆音で脅かされるわで、心臓が爆発しそうなほどバクバクになった。
そして悲鳴を上げて逃げ惑う私を横目に、流風くんは終始ずっと楽しそうに大爆笑していた気がする。
「ははっ、怖すぎだろこのクラス!」
『も…何でそんな笑顔なの…!』
暗闇の中をお化けに追いかけ回されて必死にダッシュしたので、出口に飛び出した頃にはすっかり息が切れていた。
膝に手をついてゼェゼェ言っている私に、流風くんはケラケラと笑いかける。
「いや、なんか怖がってる胡桃ちゃん見てたらむしろ楽しくなってきたみたいな」
『ひどい!流風くんの鬼!』
「うそうそ、普通に楽しかっただけだよ」
『絶対私のリアクション楽しんでたよね?』
…まぁ、一緒にわーわー騒ぎながら逃げ回るのちょっと楽しかったけど。
「でも流石に疲れたね、何か屋台で食べ物とか買って休憩する?」
『うん……そうしたい…』
「凛も屋台の近くにいるってメール来てたから丁度良いかも、先に合流しに行こ」
流風くんに促されて、お化け屋敷のあった校舎を出て中庭の方へと向かう。
その途中──人混みの隙間から、ふっと見覚えのある男の人の後ろ姿が目に入った。
あれ……? 今の……叶兎くん……?
生徒会の腕章を巻いた背中が、校舎の角を曲がっていくのが見えた気がした。
気のせいかな……?
…まあ、もし本当に叶兎くだったとしても仕事中だと思うし邪魔をしちゃ悪い。
私は首を振って、流風くんのあとに続いた。
そのまま中庭の賑やかなエリアに出て、屋台の脇にある階段にちょこんと座っている妹の凛ちゃんの姿を見つけ、私たちはそこへ足早に向かう。


