「うちのクラスのお化け屋敷、マジで怖いから入るなら覚悟してね」
満面の笑みで天音くんはそう言った。
……もはやその爽やかすぎる笑顔自体が、今の私にはホラーでしかない。
『流風くん、ここはやめよう!』
元々お化け屋敷などのホラー系は大の苦手。
できれば一歩だって足を踏み入れたくない。
わざわざこんな校内一怖そうな場所に自分から飛び込まなくても……!
なのに、私の必死の訴えを流風くんは「はいはい」と聞き流し、逃げ出そうとした私の右腕をがしっと掴んだ。
『あの〜、流風くん?何で私の右腕を掴んでいるのかな?』
「さあ?」
この人…ドSだ…!!
…叶兎くんも大概だけど!
私が逃げる隙を微塵も与えない勢いで、私を引きずったまま楽しそうに列に並ぶ流風くん。
その流れで、後ろについてきていたWhite Lillyのメンバーたちもぞろぞろと並び始めてしまう。
「3人まで同時に入れるみたいだけど凛も一緒に入る?」
流風くんが後ろを振り返って妹ちゃん──凛ちゃんに声をかけると、彼女は小さく首を横に振った。
「…外で待ってる。向こうで休んでていい…?」
「分かった、あんまり遠くに行かないようにね。なんかあったら連絡してくれれば行くから」
この対応の差よ、おかしいって。
妹ちゃんへは優しく保護者モードなのに、私には容赦なく腕を掴んで連行ですか!?
まあ、総長の大事な妹だし、優しく大事にするのは当然なのかもしれないけど…。
…………いや、総長の彼女も大事にするべきでは?
「あ、次だよ」
『えっもう!?』
「よし、行くぞ」
『えっ、ちょっと待って!ねえ、流風くん!?』


