叶兎くんを見送った後、流風くんがくるっと私の方を振り返り、じーっと私の全身を観察し始めた。
「それで…胡桃ちゃん、その格好は?」
『えっ?』
そう言われて、ハッと自分の格好を思い出す。
私今メイド服のままだ。
一回教室戻るからそこで着替え取ればいいかなって思ってたところだった。
一斉にその場の視線が集まっている気がして、頬がじんじんと熱くなる。
『あの…一回着替えに教室戻ってもいい?』
恥ずかしさで縮こまる私に、流風くんは首をかしげてニコッと笑った。
「え可愛いから良いじゃんそのままで。…あ、今の叶兎に怒られそう。まぁいっか」
な、なんか流風くんって天音くんと似たような波長を感じる…!
人を褒めることに何の躊躇もなくて、言われたこっちが恥ずかしくて悶絶しているのに、本人は至って平気な顔をしていて。
叶兎くんもそうだし、天音くんも流風くんも……世の中の“お兄ちゃん”と呼ばれる人たちは、みんなこういう天然たらしなんですか……!?
「俺はそのままでも気にならないよ」
『いや私が気にするんだけど…!?』
「まぁまぁ、せっかくだから文化祭片っ端から全部制覇目指して楽しもうよ!」
全然私の話聞いてないよこの人〜…!!
さっき叶兎くんに対してもこんな感じだったからこれが通常運転なんだろうな…。
「よーし、じゃあ行こ!」
「おー!」と後ろのメンバーたちもノリノリで声を上げる。
そんなこんなで流風くんの圧倒的なペースに完全に巻き込まれた私は、もう今更着替えに戻るのを諦めて、開き直ってこの派手なみんなと一緒に文化祭を楽しむことにしたのだった。


