純混血…契約…強大な力…。
知らない単語ばかりで、頭が追いつかない。
でも、一つだけ分かる。
朔はきっと、そのために私を狙ったんだ。
…吸血鬼って、やっぱりみんな血しか見てないの?
「あ、一応言っておくけど俺は契約とか興味ないからね?血が美味しいのは確かだけど、俺は胡桃の事が好きだから一緒にいるんだよ」
優しい声と一緒に、強く抱きしめられる。
不安や恐怖が、一気に溶かされていくみたいだった。
血とか価値とかそんなことより、
今この瞬間に「好きだから一緒にいる」って言ってくれることの方が、何倍も嬉しい。
「…絶対、渡さない」
その低い声にこめられた強い意志に、胸がじんわり熱くなった。
叶兎くんの腕の中が、どんな場所よりも安心できる。
たとえこれからどんなことが起きても
私は、きっとこの人を信じるんだと思う。
その時、不意に叶兎くんの携帯から着信音が鳴り出した。
本人は出る気がないのか眉をひそめ、しばらくそのまま無視していたけど……一向に鳴り止まない。
叶兎くんは渋々ポケットから携帯を取り出した。
「天音?何、今忙しいんだけど」
《もう見回り交代時間すぎてるよー》
「…え、もうそんな時間?」
《やっぱ気づいてなかったでしょ。凪に怒られたくなかったら今すぐ集合》
「あー、わかった。行く」
電話を切った叶兎くんは、少し渋い顔で短く息を吐いた。
時計を見るともう1時前。
私もすっかり時間を忘れてしまっていたけど、生徒会長の彼には仕事があるのだ。
「そろそろ仕事の時間だから行かなきゃ。教室まで送るよ」

