『そっか…ふふ、叶兎くんもドキドキしてくれてたんだ…』
私ばっかりドキドキしてると思ってたけど、叶兎くんも同じだったと知って、正直嬉しくて頬が緩む。
「…あ、そうだ。これは話しておこうと思ったんだけど…」
照れ隠しをするように、強引に話題を切り替えようとする叶兎くん。
いきなり真剣な目つきに変わったので身構えてしまったけど、叶兎くんが口にしたのは朔のことだった。
そうだ……さっきまでの甘い雰囲気に呑まれて完全に頭から抜けていたけど、元々は朔のことを聞くためにここに来たんだ。
「あいつはBLACK SKYの現総長で……今、胡桃を捕まえようとしてる張本人だから。幼馴染としての言葉をかけられても無闇に近寄らないで」
『BLACK SKYの、総長…』
叶兎くんと朔の会話から予想はしていたけど、朔がまさか総長をやってるだなんて…。
っていうか私幼馴染なのに、朔が吸血鬼だったのも1ミリも聞いてない。
『…叶兎くんは朔とは知り合いなの?』
「朔とは、俺が総長になる前から知り合いだった。お互いライバル視してたから仲良くはなかったけど…ここ最近のあいつは随分変わったよ。」
やっぱり……朔は変わってしまったんだ。
それはさっき久しぶりに再会した時にも、肌で感じていた。
冷酷な目つきも、刺すような雰囲気も、私の記憶にある“幼馴染の朔”ではなかった。
叶兎くんの口からハッキリとその言葉を聞かされると、改めて「もうあの頃の優しい朔はどこにもいないんだ」と思い知らされて、胸がキュッと苦しくなる。
「俺達みたいな集団は喧嘩するならその輪の中だけでやる、関係ない奴は巻き込まない。それは暗黙の了解みたいな感じだったんだけど…、あいつが、無関係の奴にも手上げたって聞いた時は正直耳を疑った」


