【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



『そっか…ふふ、叶兎くんもドキドキしてくれてたんだ…』



私ばっかりドキドキしてると思ってたけど、叶兎くんも同じだったと知って、正直嬉しくて頬が緩む。



「…あ、そうだ。これは話しておこうと思ったんだけど…」



照れ隠しをするように、強引に話題を切り替えようとする叶兎くん。


いきなり真剣な目つきに変わったので身構えてしまったけど、叶兎くんが口にしたのは朔のことだった。


そうだ……さっきまでの甘い雰囲気に呑まれて完全に頭から抜けていたけど、元々は朔のことを聞くためにここに来たんだ。



「あいつはBLACK SKYの現総長で……今、胡桃を捕まえようとしてる張本人だから。幼馴染としての言葉をかけられても無闇に近寄らないで」

『BLACK SKYの、総長…』



叶兎くんと朔の会話から予想はしていたけど、朔がまさか総長をやってるだなんて…。

っていうか私幼馴染なのに、朔が吸血鬼だったのも1ミリも聞いてない。



『…叶兎くんは朔とは知り合いなの?』

「朔とは、俺が総長になる前から知り合いだった。お互いライバル視してたから仲良くはなかったけど…ここ最近のあいつは随分変わったよ。」



やっぱり……朔は変わってしまったんだ。

それはさっき久しぶりに再会した時にも、肌で感じていた。


冷酷な目つきも、刺すような雰囲気も、私の記憶にある“幼馴染の朔”ではなかった。


叶兎くんの口からハッキリとその言葉を聞かされると、改めて「もうあの頃の優しい朔はどこにもいないんだ」と思い知らされて、胸がキュッと苦しくなる。



「俺達みたいな集団は喧嘩するならその輪の中だけでやる、関係ない奴は巻き込まない。それは暗黙の了解みたいな感じだったんだけど…、あいつが、無関係の奴にも手上げたって聞いた時は正直耳を疑った」