総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



普通なら注意して吸わないと出血がひどくなる場所なのに、あいつは無造作に噛んだ。

胸の奥で、怒りと嫉妬が同時に入り混じる。


あいつ絶対許さない
胡桃の全部は俺のなのに

胡桃の血吸っていいのも、肌に傷つけていいのも
抱きしめていいのも、キスしていいのも

全部、俺だけだから。


『っ…!』


我慢できず、噛み跡に口づける。

朔に刻まれた痕を上書きするみたいに、唇を這わせ、零れた血を舌で拭った。

胡桃の血を“あいつが一度でも味わった”と思うと、胸の奥でさらにイライラが膨れ上がる。


『や…そんなに、舐めないでっ…』


血を吸われる事には多少慣れてきてたけど、傷を治す為に舐める行為は何回やっても慣れないらしく、顔を隠すように胡桃はもう片方の腕を自分の顔の上に乗せた。


「ダメ、隠さないで。顔見せて」


強引に腕を退けると、真っ赤な頬で俺を見上げる胡桃と目が合った。


あー…やばいな、これ

メイド服着た好きな人が自分の腕の下に押し倒されて、真っ赤な顔して見つめてくんの。

どう考えても、理性を試されてる。

まだ耐えてる俺、ほんと褒められるべきだと思う。