すーっと体の力が抜けていく胡桃の細い腰を、俺はぎゅっと強く抱き寄せた。
倒れ込まないように支えるため……けれどそれ以上に、「誰にも渡さない」という俺の固い意思を込めて。
『ば、か……っ!!』
顔を真っ赤に染め上げたまま、上目遣いで抗議してくる胡桃。
でも、そんなとびきり可愛い表情で訴えかけられたところで、俺にとっては煽られているのと変わらない。
むしろ余計に歯止めが効かなくなるだけ。
……怒っている胡桃も、反則級に可愛い。
正直、このままここでキスしたっていい。
何て考えながらも、どうにかギリギリのところで踏みとどまった俺は理性の最後の一線を保ちながら、倒れた椅子のそばに立つ朔へと冷酷な視線を突き刺した。
「次また胡桃に何かしたら…組織ごと潰す」
校内で口にするにはあまりに物騒な言葉。
生徒会長としての建前なんて、今はどうでもいい。
いつも俺にうっとうしい視線を向けてくる女子生徒たちも、俺の殺気に怯えた目でこちらを凝視しているのが嫌でも分かる。
……まあ、胡桃以外の女にどう思われたって、知ったことじゃないけど。
「へえ、BLACK SKYを消す?随分面白いこと言うね。まぁいいよ、今日は“確認”しに来ただけだから。もう帰るよ」
確認…?
何の確認だ…?
何か裏のある言い方をしていたのが引っかかったが、朔は鼻で笑うと、そのまま教室の出口に向かって歩き出した。


