「うざいんだよ。…ねぇ、くーちゃん。ホントに僕の誘い断るの?」
「胡桃は絶対渡さない」
バッと、叶兎くんの腕が伸びた。
私の腰を力強く抱き寄せると、そのまま正面からすっぽりと抱き込まれる。
次の瞬間、私の肩に羽織らされていたあの大きな漆黒のマントが、バサリと取り払われた。
……ちょ、叶兎くん!?
自分で着せてくれたのに、なんで今取るの……!?
助けを求めて視線を向けると、遠くにいた春流くんから「……諦めろ」と言いたげな哀しそうな目で見返される。
『叶…兎く、ちょ、こんなとこで…っ』
私の必死の抗議も虚しく、叶兎くんは何も答えてくれない。
露わになった私の首元に、チュッと軽く熱い口づけを落としたかと思うと──。
そのままそこに、ガブリと深く牙を突き立てた。
「「キャ〜〜〜!?」」
「あの、赤羽くんが血を…!」
「しかもこんな人前で…!?」
教室中が一瞬でパニックになり、女子たちの黄色い悲鳴と興奮した声援が響き渡る。
ま、待って!本当に待って……っっ!
私、今どんな顔してる!?
絶対に恥ずかしい表情になってる!
叶兎くんに首筋から血を吸われると、いつだって身体の奥から甘い熱が湧き上がってきて、どうにかなりそうになってしまう。
全身が激しい熱に浮かされ、手足からスーッと力が抜けていく。
抱きしめられていなければその場に崩れ落ちてしまうほど、立っているのがやっとだった。


