やっと、全ての違和感の正体が分かった気がした。
その赤い瞳は叶兎くんと同じ色で、彼らは吸血鬼。
そしてさっきまでの会話内容。
……あの二人は、きっと。
叶兎くんの、ご両親。
だから初対面なのにどこか見覚えがあって、叶兎くんの面影を感じたのだ。
私は好きな人の親に、好きな人の好きなところを、あんなにペラペラと…
……これ、だいぶ公開処刑じゃない!?
恥ずかしすぎて一気に顔が熱くなり、その場に崩れ落ちそうになった。
でも……とりあえず、変な悪口とか変なことを言わなくて本当に良かった……!
そうして赤くなった顔を誤魔化すように必死でテーブルの片付けをしていると、トントン、と背中を軽く叩かれた。
振り返ると、そこにいたのは高校生くらいの男の子で、いつの間にか隣の空席に腰かけている。
あ、新しいお客さんかな……?
急いで呼吸を整え、営業用の笑顔を作って声をかける。
『ご注文で──』
「ねぇ、くーちゃん」
“ご注文ですか?”
そう聞く前に、彼の言葉に遮られた。
『……え?』
固まる私を、その男の子は真っ直ぐに見つめ返し、懐かしむように優しく微笑んだ。
私を、“くーちゃん”と呼ぶ声。
その幼い頃の愛称で私を呼ぶ人物を、私は一人しか知らない。
「久しぶりだね。僕の事、覚えてる?」


