「へぇ、あいつら結構似合ってるじゃないか」
振り返ると、そこには天音くんと桐葉くんが並んで立っていた。
二人の登場に、周囲の空気がまた少しざわめく。
……というか天音くんと桐葉くん、 二人一緒に文化祭回ってるの……!?
正反対な二人の珍しい組み合わせに思わず目を丸くしたけど──。
「言っておくが、これは生徒会の見回り仕事だ。誰が好き好んでこいつと文化祭回るか」
私が質問を口にするより早く、桐葉くんがメガネの奥の瞳を冷ややかに光らせて一蹴した。
生徒会メンバーは午前と午後の仕事をシフトで分けているらしく、午前の担当らしい。
春流くんと叶兎くんは今教室にいるから2人は午後仕事ってことかな。
「え〜凪なんかそれ酷くない?!」
「だってお前と一緒にいると…」
桐葉くんが呆れ顔で言葉を続けようとした、まさにその時。
後ろからキャーッと割り込んできた他クラスの女の子たちによって、その会話は途絶えさせられた。
「あの、栗栖くん…だよね?」
「え!栗栖くん来てるの!」
「桐葉くんもいるよ!2人が一緒なんてレア!」
瞬く間に二人の周りにも人だかりができあがる。
天音くんは生徒会メンバーの中でも一番フレンドリーで……悪く言えばチャラいところもあるけれど、普段から女の子たちの扱いには慣れている。
すぐに愛想のいい笑顔を浮かべて返事を返していた。こうやって女子に囲まれる光景は、彼にとって日常茶飯事なのだろう。
「ほら見ろ、こうなる」
一方の桐葉くんは、「囲まれるのは嫌いだ」とばかりに小さく溜め息をつき、控えめに距離を取りつつ周囲の安全状態を確認している。
どんな時でも取り乱さずに淡々と対応するその落ち着きと冷静さは、なんだかすごく頼もしく見えた。
『桐葉くん、もう行くの?天音くんまだ囲まれてるけど…』
「あそこにいると俺まで囲まれるからな。仕事内容は各企画場所の安全点検だしここでもできる」


