総長は、甘くて危険な吸血鬼












『……?』



そっと目を開けると、

視界に入ったのは天井に吊るされた大きなシャンデリアだった。


いつのまにか柔らかいソファーの上に寝かせられていて目を擦りながら上体を起こす。

まだ頭がぼんやりしていて体も妙に重くて思考がまとまらない。



「起きたか」


この人は……確か昨日赤羽くんと一緒にいた…


『……………桐葉くん?』


隣を見ればメガネを掛けた桐葉くんが静かに座っていて、片手にコーヒーカップを持ったままこちらに目を向けていた。


…どういう状況?


春流くんいきなり血を吸われて、そのあと…



「多分、貧血だろう。吸血されるのに慣れてない人間があれだけ吸われれば当然だ」



カップを軽く傾け、コーヒーを啜りながら淡々と告げた。



「……あいつ、普段は優しいけど、吸血鬼としての本能が出ると別人になるから気をつけろ」



“あいつ”とは多分、春流くんの事を言っているのだろう。

今更言われてもすでに手遅れ感がすごい。



「それより、お前はどうしてここに居るんだ。生徒会室には近づくなと今朝忠告したはずだ」