【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



『…はぁっ…もう、叶兎くんいきなり何するの…!』


ようやく満足したように唇を離してくれた時には、私の息は完全に途切れてしまっていた。

必死に呼吸を整えながら抗議の視線を向ける。


対する叶兎くんはといえば、呼吸ひとつ乱さずに涼しい顔をしていてなんだか無性にムカつく。

こんな病人相手の時まで完全に彼のペースだ。



………………まぁ、そんなとこも好きなんだけど……。



「風邪薬飲ませただけだよ?」



涼しい顔で言われて、机の上の薬の箱に目がいく。


風邪薬…?

そういえば何か飲んだ気がするけど…。



………いやいや、薬くらい自分で飲めますけど……?!



『……風邪うつっても知らないからね』

「吸血鬼は風邪ひかないからご心配なく」



何その設定!羨ましい!

もう一回する?とでも言いたげな笑顔で叶兎くんはこちらを見てくる。

なんだそれ、ずるい。



『しません!』

「そっかー残念」



残念〜…じゃないよ。

これでも私病人なんだから…。


「ま、ゆっくり寝ると良いよ。胡桃が寝るまではここにいるから」

『生徒会の仕事は?』

「春流達にも手伝ってもらってるから平気だよ…多分。だから余計な心配しなくていいの」


多分て…。

でも、もっと頼ってほしいって言われちゃったし…こういう時くらい甘えてもいいかな。

だって、叶兎くんがそばにいてくれるだけで、体の力が抜けるように安心する。